今月はPolydor復刻の当たり月のようです。下記のベンヴェヌート・チェルリーニ序曲のほかに、ケルビーニの「担水夫」序曲の最新復刻がyoutubeに上がっています。このアップロードは2つの意味で重要と考えます。一つは曲のタイトルで、このオペラの原題はフランス語で「二日間 または 水運び人」というタイトルですが、独語圏では後半の「水運び人」のみのタイトルだけで知られています。それを菅一氏のディスコグラフィでは「担水夫」と訳したようですが、オペラの筋書きからして、これは飲料水の樽を大八車で売り歩く水売り商人(日本の江戸時代にもあったそうです)の話なので「担水夫」はややオーバーな訳だと思います。
もう一つ重要なポイントは、この録音はPristine Classicalの PASC-322でも復刻されており、エンジニアは高名なWard Marstonなのですが、何とこの曲のみとんでもない誤ピッチで復刻されているため、今回のyoutube復刻は良好な音質も含めてきわめて貴重です。ご参考までに、PASC-322では原曲ホ長調に対しハ長調で復刻されており、そのためテンポも大幅に間延びしています。
なお、今回この序曲をアップロードされたSHINYA-78rpm氏は、他にも悲愴交響曲の全曲や、ワルターのPolydor録音の第一号と考えられるカルメンの二つの間奏曲もよい音質の復刻でアップしておられます。氏に深く感謝するとともに、さらなる続編を期待したいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=neefFGrS34s